第94回『TOKYO月イチ映画祭』2025年5月11日(日)
■ 前回グランプリ作品上映 ■(無料)12:50~
● 作品 『息子さんのつくもさん』 27分/2024 監督 鹿野洋平
【あらすじ】
孤独に誕生日を迎えた老婦・トシエは、思い出深い日本人形の買取を依頼する。つくもは出張査定に訪れるが、彼女のホースの水がかかってずぶ濡れに。二人は服が乾くまでのあいだ一緒に過ごし、つくもは亡き母とトシエの姿を/トシエは亡き息子とつくもの姿を重ね合わせる。やがてトシエがおやつを買いに出かけるとそこへ思わぬ訪問者が現れる。つくもはトシエの息子だと勘違いされたまま、ある真実を突きつけられるのだが……。
【紹介文】
日本各地の映画祭を席捲し、ちょうど1年前「月イチ」でも上映された、『つくもさん』。そのPART2の登場。
“日本映画界”には、もっと気軽に観られるシリーズものが必要だ!その利点としては、主役をはじめお馴染みの顔触れが繰り返し出演する内に、説明的な内容は最小限に、中味を面白くすることに注力できる。
例えば1年に1本、撮影時期や公開時期が決まってくれば、出演陣はスケジュールが空け易く、観客もその時期の“再会”を心待ちにするようになる。『男はつらいよ』や『釣りバカ日誌』があれだけ作を重ねられたのは、まさにそうした好循環の効用である。
人の好さや親切心故に、思いがけない事件に巻き込まれてしまう出張買取業者の中年男。プライベートはバツイチで、我が子に会わせてもらえない…。“つくもさん”のそうしたキャラクター、物語のフォーマットは、最近は『踊る大捜査線』シリーズにも参入した、大活躍の渡部直也のキャラと相まって、この第2作『息子さんのつくもさん』で、完璧に出来上がった!
第3作では早くも(?)、海外ロケを敢行という風の噂も伝わってきている
“つくもさん”には、インディーズ界の“寅さん”を目指して欲しい。1年に1本作り続けて、やがてメジャーの世界に駆け上って…と、夢は尽きないのである。(松崎まこと)
【受賞・上映歴】
・西湘映画祭 Seisho Cinema Fes 8th コメディ部門 入選(選考中)/・パルマジャパン国際短編映画祭2025 最優秀俳優賞ノミネート(選考中)
・第3回彩の国市民映画祭2025 入選/ ・沖縄NICE映画祭3 入選/ ・広島こわい映画祭2024 入選/ ・第2回大牟田映画祭 入選/
・第1回芦屋国際芸術映画祭 コンペティション部門 脚本賞受賞/ ・第1回アートファインディング映画祭 俳優賞/優秀賞 受賞
【監督プロフィール】
1992年神奈川県横浜市生まれ。2017年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了後、 東映株式会社に芸術職研修契約者の助監督として入社。白石和彌監督『孤狼の血』はじめ、東京撮影所・京都撮影所で数多くの映画やTVドラマに演出部として参加する。2020年4月より独立し、フリーランスの映像作家・助監督として活動中。
【キャスト】
渡部直也、木許昌子、村松和輝、森山みつき、佐藤晶愉輝
【スタッフ】
監督・脚本・編集:鹿野洋平/ 撮影:鈴木和馬/ 録音:上原 彩/ 制作:佐藤 晶愉輝
●予告編
● 作品 『ドイツにつくもさんざん』 9分 (おまけ上映) 監督 鹿野洋平
ドイツの映画祭に参加した時に現地の方々へ声をかけて一緒に制作したユルめなロードムービーです。趣のある街並みの中で必死に探し物をするも意外な結末が待っていて…国境を超えた不協和音をお楽しみください!
【あらすじ】
買取業者のつくもは海外出張でドイツのフランクフルト本社を訪ね、社長から大切なティーポットをリセールマーケットに売るため託される。現地の社員たちと愉快に出かけるも、いつのまにかバッグに入れたティーポットを失くしてしまう。必死に街中を探すもなかなか見つからず、仕方なく蚤の市へ行き代わりの物を買ってしまう。しかし、いざ社長を前にすると良心の呵責から嘘をつけなくなってしまい……。
【キャスト】
渡部 直也、Tobias Wolf、Sayumi Wujanz、Jakob Dusse、Benjamin Laghchioua、Qasim Syed
【スタッフ】
監督・脚本・編集:鹿野 洋平/ 撮影:鹿野 洋平/ 録音:鹿野 洋平/ 制作:渡部 司、Maria Krusanova
■ Aプログラム ■(有料)13:55
● 作品 『恋は真っ赤に燃えて』 29分/2024 監督 西口洸

【あらすじ】
田中イチローはアフリカ系アメリカ人と日本人とのミックスの高校1年生。 クラスメイトのゆいに想いを寄せながら友人の治と悶々とした日々を送っている。そんな彼の前に現れた転校生マイケルはヨーロッパ系アメリカ人と日本人のミックス。4人の想いが交錯する時、恋の花火が打ち上がる。
【紹介文】
2018年のゆうばり映画際でグランプリを受賞して注目を浴びた西口洸監督。今はテレビドラマの監督もやったりして大活躍である。今までの作品『ED あるいは(君がもたらす予期せぬ勃起)』『性春まみれ』は、かなり独特の感覚で不思議な世界観を醸し出していたが、本作でもその不思議な世界観が爆発している。本作はndjcという国が映画監督を育成するためのプログラムでの製作で、比較的オーソドックスな映画を作る監督が選ばれることが多かったのだが、本作はndjc作品としてはかなり規格外と言えるほど不思議な感覚の作品に仕上がっている。監督の持ってる個性やこだわりを守ることは非常に難しく、普通にされがちなのだが、どうやって個性を守ったのか興味深い作品である。(野火明)
【監督プロフィール】
1995年 大阪府生まれ。
大阪芸術大学映像学科卒業。卒業制作『ED あるいは(君がもたらす予期せぬ勃起)』が、うえだ城下町映画祭審査員特別賞、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018オフシアター・コンペティショングランプリ、沖縄国際映画祭U-25審査員特別賞受賞。監督作に『性春まみれ』等。
【キャスト】
トロツキー・マックレンドン、髙橋翔、中島瑠菜、田中智也、板尾創路
【スタッフ】
監督・脚本:西口 洸/ 製作総指揮:松谷孝征(VIPO理事長)/製作:特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)/プロデューサー:佐藤圭一朗/ キャスティング:下鳥真沙/ 音楽:川崎正貴/ 撮影:北川喜雄/ 照明:福田裕佐/ 録音:田中靖志/ 美術:松塚隆史/ 編集:宮島竜治/ 音響効果:齋藤昌利/ 衣裳:川本誠子/ ヘアメイク:板垣実和/ VFXスーパーバイザー:平野宏治/ スチール:土屋久美子/ 助監督:張元香織/ 制作:駒宮永恵/ 作家推薦団体:大阪芸術大学 映像学科/ 制作プロダクション:Lat-Lon/
● 作品 『水辺の余興』 22分/2023 監督 上島信彦

【あらすじ】
都内の中小企業に勤める小高依澄は、日々仕事に追われ、東京での暮らしにも疲れ切ってしまい、仕事を辞めて故郷に帰ることにした。
最後の出勤日、依澄しかいないオフィスにサーバー管理会社の三毛樹知が代理でやってくる。
依澄にとって、三毛との出会いが東京最後の余興になるとは、、、
【紹介文】
東京での生活を捨てて郷里へと帰ることにした女性の、“最後の1日”を描いた作品。初対面の、しかも多分もう会うことのない男性との交流によって、ヒロインの気持ちが和らいでいく描写が、心に残る。
“短編”という特性を、生かした作品と言えるかも知れない。これからも人生が続いていく中では、いつかはきっと忘れ去ってしまう…。そんな些細な出来事であっても、この尺なればこそ、“映画”として成立するのである。
自身も俳優として活動している上島信彦監督は、メインキャストの長田涼子、小出水賢一郎と、意見交換やアイディア出しをしながら、現場を進めたという。大きな展開はない、この作品に良き読後感をもたらしたのは、そうした演出方法が、きっと吉と出たからなのだろう。(松崎まこと)
【受賞・上映歴】
熊谷駅前短編映画祭(優秀賞)
TOKAI CREATORS FILM
【監督プロフィール】
1990年3月8日生まれ。 愛知県出身。
ケイエムシネマ企画、プレイングマネージャー。
ドラマや映画、CMなどに出演する傍ら、俳優のマネージメント、カメラマン、映像制作など幅広く活動。183cm。O型。
【キャスト】
長田涼子、小出水賢一郎、犬塚俊輔
【スタッフ】
上島信彦(脚本、撮影、録音、編集)シン(撮影協力)
●予告編
●作品『ファースト・ピアス』 25分 監督 木村ナイマ
■ Bプログラム ■(有料) 16:15
● 作品 『古写真』 5分/2023 監督 中村好伸

【あらすじ】
旅先で拾った古写真をめぐるショートホラー。
旅行最終日、旅館で帰り支度をしながらくつろいでいた隆。思い出と共に旅先で拾った古写真をながめていると声がして…。
【紹介文】
「映画好きの仲間と集まって」数分間のホラー短編を次々と放っている、中村好伸監督。
SNSを題材にしたものや〝縦型ライブ配信ホラー”と銘打った作品を製作したと思いきや、コメディタッチに進むもどんでん返しでゾッとさせたり、昨今の流行りとも言える“マルチバース”を“幽霊譚”に仕上げたり等々。手を変え品を変えて生み出される作品群は、「熊谷駅前短編映画祭」で2年連続入賞を果たすなど、各地の映画祭で高く評価されている。
そうした中では本作『古写真』は、“Jホラー”のエッセンスをギュッと詰め込んだ、4分36秒。しっかりと「怖い」ので、どうぞゾッ~として下さい。(松崎まこと)
【受賞・上映歴】
「第24回ハンブルク日本映画祭」(2023)入選
「西湘映画祭」短編部門(2023)入選
「東京神田ファンタスティックフィルムコンペティション(TKFFC2022)」ホラー部門賞選出
第4回「Warped Dimension」(2023/米ホラー映画祭) スタッフ賞
「溝の口短編ホラー・サスペンス映画祭2023」入選
「唐津ライジングサン国際映画祭] (2023) 入選
「Spooky Empire’s Horror Film Festival」(2023/米ホラー映画祭)入選
「20th annual Another Hole in the Head Film Festival」(2023/米ホラー映画祭)入選
「熊谷駅前短編映画祭2024」(2024)入選
ショートホラー上映企画「最恐!ショートホラー大宴怪!」(2024)上映
【監督プロフィール】
フォトグラファー。写真仲間と2019年頃から短編映画制作を始め、短編ホラー『お札』『古写真』『忘れる力』『ペアリング』等を監督。最近は他作品のメイキング撮影も始めました。
【キャスト】
宮本伊織(Iori Miyamoto)緋真煉(Nel Hisana)
【スタッフ】
監督・脚本・撮影・編集:中村好伸
助監督:深澤明子
録音:mami matsubayashi
メイク:HIKOHO
スタイリスト:Kaori Mitsuki
●予告編
● 弁セレ全体予告編
● 作品 『(Instrumental)』 64分/2020 監督 宮坂一輝

【あらすじ】
新米新聞記者の以有真知子(秋田ようこ/八木優希)は、ある日訪れたコインランドリーで男子中学生の岡孝汰(黒澤凜士)と知り合う。自然と心を通わせていく二人だったが、真知子は次第に、孝汰が自分の幼いころの親友、佳子(新谷ゆづみ)と同じ雰囲気を持っていると感じ始める。
【紹介文】
【受賞・上映歴】
第21回TAMA NEW WAVEコンペティション部門入選/ 池袋シネマ・ロサにて劇場公開
【監督プロフィール】
1999 年埼玉県出身。東京大学総合文化研究科修士課程卒。2020 年に初長編監督作『(Instrumental)』が第 21 回 TAMA NEW WAVE コンペティション部門にノミネートされ、2022 年夏に劇場公開。2025年5月31日より最新作『温帯の君へ』がテアトル新宿・梅田にて公開予定。
【キャスト】
秋田ようこ・黒澤凜士・八木優希・新谷ゆづみ
【スタッフ】
●予告編
● 作品 『銀河健康センター -1SET-』 18分/2024 監督 坂田敦哉

【あらすじ】
荒廃した砂の惑星に寂しく佇むサウナ施設「銀河健康センター」。水風呂の枯れたサウナにお客はこない。看板娘“トト”は文字通り看板を磨くだけの退屈な日々を過ごしていた。そんなある日、大量の水を積んだ宇宙船が不時着して…。「ととのい」求めて三光年、壮大な“星おこし”が今、始まる。
【紹介文】
ハンドメイドで丁寧に仕上げたギミックや特撮に、実物大のセットを破壊してみせる心意気で、伝説的な作品となった、『宮田バスターズ(株)』(2019)。各地の映画祭を席捲し、コロナ前の「TOKYO月イチ映画祭」でも、見事グランプリを獲得している。
本作は、その後映像制作会社に所属しながら腕を磨いた坂田敦哉監督が挑む、短編SFコメディシリーズの第1作。砂の惑星に生まれ育った少女が、サウナの“ととのい”を求めて銀河を舞台に繰り広げる冒険譚3部作のプロローグであり、いわば『スター・ウォーズ』旧シリーズに於ける、「新たなる希望」である。
鳥取砂丘で大々的な(!?)ロケを敢行!相も変わらず“手作り”にこだわり、ミニチュアワークを軸としたSFX技術を磨いていくその姿勢は、日本のクリストファー・ノーランと言えるかも知れない。
このシリーズ、実は配信用に製作された作品であるが、スマホやPCの小さな画面で楽しむだけでは実にもったいない!坂田監督の協力を得ながら、当映画祭で、シリーズのスクリーン上映を順次実現できればと思う。(松崎まこと)
【受賞・上映歴】
第2回熊谷駅前短編映画祭 優秀賞
Amazon prime Video 他、各種配信サービスで配信中
【監督プロフィール】
1999年大阪府生まれ。 小学生の頃に見た「ドラえもん」の自主特撮を作る話に感銘を受け以降自主映画を作り始める。 大阪芸術大学映像学部に在籍後、都内の映像プロダクションにディレクターとして勤務。
【キャスト】
田中なつ、渡部直也、佐田淳
【スタッフ】
島原大知
●予告編
■ 閉会式 ■ 18:40