第91回 TOKYO月イチ映画祭 2月9日(日)

2025年2回目の月イチ映画祭。濃密で熱く、楽しく大いに盛り上がりました!
観客の皆様、監督、関係者の皆様ありがとうございました!
グランプリは『AIM』GAZEBO 監督が受賞いたしました。おめでとうございます!
● 作品 『ルサンティール』16分/2024 監督 小原正至
【あらすじ】
1932年のパリ。いつもの喫茶店で顔を合わせる日本人の麗之進と、フランス人のルイーズ。
言葉を交わす事はないが、いつも身近な存在だと感じていた二人。
ある時、麗之進がルイーズに近づき、フランスを離れなければならないと伝える。
【紹介文】
1000年後の世界を描いた『THE ANCESTOR』地球では無いどこかの惑星の宇宙飛行士を描いた『AYESHA』と、SFアニメーションを手書きでコツコツと作っている小原正至監督の最新作。しかも今度は1932年のパリが舞台で、登場人物も普通の人間だ。しかし油断してはいけない。小原監督の映画は観る者の想像を常に超えてくるのだ。
今回はロトスコープアニメーションという手法をとったそうだ。昔のディズニーアニメでよく使われていて、役者が演じているところを撮影してから、その映像をトレースしてアニメにするという手法である。なんと『ホモ・アミークス』の馬渕ありさ監督が本作のヒロインを演じているとのことである。馬渕監督の演技も注目である。
この映画、ネタバレするといけないので言えないことが多いのだが、タイトルの『ルサンティール』はフランス語で「感じる」という意味なのだが、ただ感じるのでは無く「より深い部分で感じる」というニュアンスがあるらしい。これが少しヒントになっている気がする。
美しいアニメーションと想像を超えるストーリーで描かれた映画も凄いし、コツコツと長い時間をかけて作り上げる小原監督も凄いと思う。是非観てください!(野火明)
【受賞・上映歴】
St Andrews Film Festival(スコットランド)ノミネート
【監督プロフィール】
2011年から手描きアニメーションを制作。
2014年「ソラトブマチ」リリース
2018年「THE ANCESTOR」(アニメ)
2019年「AYESHA」(アニメ)
2022年 おかあさんといっしょ「ファンターネ!」(OPアニメーション)
2022年「時には昔の話を/森山周一郎 声優と呼ばれた俳優」劇場公開
【キャスト】
岡田麗之進(声・演):金子貴伸/ルイーズ(声):中井ノエミ/ルイーズ(演):馬渕ありさ/ハンター(声):ラッセル・トッテン/ハンター(演):バーガー長谷川/ナレーション:米倉リエナ
【スタッフ】
監督・脚本・アニメーション:小原正至/アニメーション協力:平岩和美/音楽:秋山裕和
録音:尾立昌典/翻訳:サミハ・アンワー
予告編
■ Aプログラム ■(有料)13:35
● 作品 『明るいニュース』 30分/2024 監督 城真也

【あらすじ】
清掃員の仕事をクビになった濱中元は、怪我をして訪れた病院で、看護師の内田靖子に一目惚れをする。半ば強引に関係を結ぶも、靖子には別の恋人がいて、彼との間に子どもが出来たとのこと。それを聞いた元は自分の子どもだと信じ込み、嬉々として父に報告するが望んでいた反応は得られず…。
【紹介文】
本作の主人公は本当にどうしようもない人間だが何故か魅力的である。関わりあいたくはないが、キャラクターが強烈で面白い。映画の主人公はどこかイカレタところが無いと面白くない気がする。
興味深いのはこの主人公の行動は非常識だが、この男の性格や倫理観、欲求で行われる行動なのですごく自然である。そしてどうしてこんな人間になったかもだんだんと分かってくる。これはある意味しっかりとリアルに人間が描けているといえると言える。
多くの映画では普通の倫理観を持っている人間が主人公になっていることが多い。そのほうが観客の共感を得られやすいという理由らしいが、本当にそうだろうか?疑問に思う。
というわけで、本作は個人的に非常に面白い作品だ。一人のイカレタ男の日常を淡々と追いかけていて、無理やり感動させようともしていない。凄く詩的でスタイリッシュな作品だと感じた。多くの人に観てもらいたい作品です。(野火明)
【監督プロフィール】
1993年 ドイツ・ミュンヘン生まれ、東京育ち。
早稲田大学文化構想学部卒業。映画美学校フィクションコース19期修了。2017年『さようなら、ごくろうさん』、2019 年『アボカドの固さ』がぴあフィルムフェスティバルに入選。ユーロスペース他にて、自主配給での劇場公開を果たす。
【キャスト】
篠原悠伸、安 亜希子、菊川実晴、伊藤佳範、鈴木晋介
【スタッフ】
監督・脚本:城 真也/製作総指揮:松谷孝征(VIPO理事長)/製作:特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)/プロデューサー:草野江里加 久保田 傑/ラインプロデューサー:齋藤大輔 /撮影:飯岡幸子 /照明:玉川直人/録音:鈴木健太郎 /美術:野中茂樹/編集:鈴木真一/衣裳:江頭三絵/ヘアメイク:有路涼子/スクリプター:松村陽子/助監督:玉澤恭平/制作担当:花山康大/音楽:岩出拓十郎/スチール:柳橋啓子
● 作品 『夢が眠る場所』 40分/ 2022 監督 小池匠

【あらすじ】
カメラマンを夢見ていた笹原は仕事が上手くいかず、その夢を諦めようとしていた。そんなとき、親の借金を肩代わりしなければならない少女・咲と出会った。
【紹介文】
プロの助監督としての気働きにも定評ありの、小池匠監督。インディーズ作品の作り手としては、地下アイドルや駆け出しの新人タレントなどの、名刺代わりの1作を託されるケースが多いようだ。
その筋からは、いわば“職人”として信頼されているわけだが、監督作にはやはり、作家の灰汁のようなものが滲み出る。
『夢が眠る場所』は、親の借金を背負わされた少女と、プロカメラマンへの夢が破れかけている青年との出会いから始まる。ラブストーリーにもコメディにも料理できる題材だが、小池演出は敢えて、万人が望むような展開は避ける。
物語は静かに、しかしとんでもなくdarkな方向へと向かっていく。初見時、その意味するところに一瞬気付かず、後で「ああ…」となった。
これが小池監督の“特性”なのかどうかは、まだ判断がつかないが、長編作品『アイチェルカーレ』が間もなく劇場公開される折り、是非注視していきたい。(松崎まこと)
【受賞・上映歴】
田辺・弁慶映画祭ノミネート
【監督プロフィール】
1994 年(平成 6 年)生まれ。長野県軽井沢町出身。
大学にて映画製作を学び、大学にて映画制作を学び、卒業後は多くの映画・ドラマに助監督として参加。近年では映画を中心にMVやドラマ、舞台なども手掛ける。 監督作品「消しかすの花」は国内、約20の映画祭に入選、12冠を獲得。
2025年3月8日より初の劇場公開作品「アイチェルカーレ」がK’s cinemaにて公開を控える。
【キャスト】
志波景介、玲衣、田中和弘、杉原光玲、伊櫻誠、桃山華瑛、谷啓吾、巴山祐樹
【スタッフ】
監督・脚本・編集 小池匠/ 撮影 渡邉翼 /照明 杉崎友城 /録音・整音 渡邉直人 /音楽 佐藤太樹
●予告編
● 作品 『雨をんな』 23分/2021 監督 岩崎友彦

【あらすじ】
満子は、濡れると雨をもたらすという村雨家の末裔。だが夫の英之が戦地にいるため性交渉がなく、村に雨が降らなくなってしまった。困った村人たちは満子に迫り、「夫のことは諦めて、ほかの男と交わって雨を降らせてほしい」と懇願するのだが…。
【紹介文】
司会の岩崎が、軍靴の音が次第に高らかに響いてくる昨今の世情を憂い、そこに愛を問うた掌編です。お気に召しましたら幸いです。
岩崎友彦監督の「まん ここ わい」シリーズ。主演を務めるのはグラビアアイドル・西村禮。エロティックな展開はもちろん、全編に漂うメルヘンチックな雰囲気も見どころ。(岩崎)
【受賞・上映歴】
神田東京ファンタスティック映画祭サイファイ部門入選
【キャスト】
西村禮、榎本桜、小林でび、谷中栄介、岩崎友彦
【スタッフ】
監督:岩崎友彦/ 撮影:吉田康弘 / 録音:野火明
■ Bプログラム ■(有料) 16:15
● 作品 『駆け抜けたら、海。』 17分/2023 監督 十川雅司 
【あらすじ】
女子大生の綾瀬みつきは、親友の星野うみに片想いをしている。
合コンを抜け出してきた2人は閉店間際の銭湯に駆け込む。いつものようにうみの恋愛話を聞かされるみつき。友情と恋愛のはざまでみつきの想いが次第に溢れていく。
【紹介文】
私が審査委員長を務める「熊谷駅前短編映画祭」で、ゲスト審査員の入江悠監督らと共に選んだ、記念すべき「第1回」グランプリ受賞作品!
主演の松原怜香さんには、俳優賞を贈呈した。
この作品のクオリティーの高さや魅力については、昨年『MIRRORLIAR FILMS』の一編としてミニシアター系の劇場で公開されることが決まった際、私が十川監督に贈ったコメントを引用する。
*****
執着、ためらい、そして決心…。
秘めたる恋の彷徨を、
素晴らしい2人の女優を得て
10数分という短尺で描き切った、
十川雅司監督の“映画力”!
近い将来、こいつはバケるぜ!
*****
十川監督は現在、新作を準備中と聞く。はっきり言って、期待しかない!(松崎まこと)
【受賞・上映歴】
・熊谷駅前短編映画祭 【グランプリ、俳優賞(松原怜香)、優秀賞トリプル受賞】
・タカマチ映画祭 【グランプリ】
・おおいた自主映画祭 【おおいた自主映画祭賞、女優賞(松原怜香)W受賞】
・沖縄NICE映画祭 【NICE特別賞】
・西湘映画祭 【ベストアクトレス賞(松原怜香、嶺結)】
・ネパール国際映画祭2025 【公式セレクション】
・カンボジア国際映画祭2024 【公式セレクション】
・SSFF&ASIA2024 Shibuya Diversity Program 【公式セレクション】
・The 15th LGBT+ Film Festival Poland 【公式セレクション】
・台湾クィア国際映画祭2024 【公式セレクション】
・Queerfilm festival Bremen(ドイツ) 【正式招待】
・日本デンマーク映画祭
・かつての水面と森の映画祭2024
・北海道国際映画祭2024
・スウェーデン映画賞
・コシチェ国際映画祭(スロバキア)
・地球とヒトがkissする映画祭
・函館イルミナシオン映画祭
・下北沢映画祭
・関西クィア映画祭
・ネパールクィア映画祭
・すみだパークシネマフェスティバル
・タカマチ映画祭
・杉並ヒーロー映画祭
▼上映実績
・オムニバス映画「MIRRORLIAR FILM season5」として全国14スクリーンで2週間劇場公開
・熊谷シネティアラ21で1週間の劇場上映
・「Stranger」能登半島地震復興チャリティー上映
・GoogleにてLBGTQプライド月間に上映&トークショー
・ロケ地の銭湯「電気湯」での上映会&トークショー
【監督プロフィール】
徳島県出身。大学在学中に演劇と出会い、表現の世界に没頭する。卒業後は上京し、自然な演技を模索する中で、映画に興味を持ち始める。映画の作り方を学ぶため撮影現場に潜り込み、深田晃司監督作『本気のしるし』(第73回カンヌ国際映画祭正式出品)、『LOVE LIFE』(第79回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門出品)など様々な監督の演出部として経験を積む。初監督の短編映画『各駅ミッドナイト(2020)』が京都国際映画祭に入賞。2023年に監督した短編映画『駆け抜けたら、海。』が24の映画祭にノミネーションされ、グランプリ含め多数受賞。「MIRRORLIAR FILM」に選出され、日本全国で劇場公開を達成。最新作『レタスまき(2024)』は、札幌国際短編映画祭に世界の2085作品の中から正式セレクションされた。
作風は、社会課題を背景に置き、現代を生きる市井の人々の抱える切なさや寂しさ、どうしようもない無力感を丁寧に描ながら、人間の優しさや愛を見つめていく。登場場人物の繊細な心理描写とリアリティのある芝居を徹底し、捉えきれない「切なさ」の映像化を目指している。
【キャスト】
松原怜香、嶺結
【スタッフ】
監督・脚本・編集:十川雅司
撮影:久米脩哉(sumaki)
照明:ケンヤザキ
録音:宇治舜哉
スタイリスト:キクチハナカ
ヘアメイク:田中優衣
音楽:Robin
振付:佐久田あさか
●予告編
● 作品 『立てば転ぶ』 47分/2024 監督 細井じゅん

【あらすじ】
個人経営スーパーの閉店後。大学生の安達、売れない役者の石川、フリーターの内田はバイトのシフトがよく重なる。安達はひたすら面白くもない無駄話をふっかける。飄々と応酬する石川。内田は一人黙々と仕事をする。バイト先の知り合いでしかない関係性の中、執拗に話を続ける安達には、彼女なりの理由があった…
【紹介文】
幕開けからしばらくは、スーパーのバイト仲間である、日高七海と細井じゅんのイミフ且つ無意味に聞こえる会話が、グダグダグダグダ続いていく。
私はこの作品に昨年の「SKIP国際Dシネマ映画祭」で出会ったのだが、まずは「何じゃコレは!?」と思った。ところが物語が進む(?)内に、2人のやり取りから目が離せなくなっていく…。
で、ある種のクライマックスを迎えるのだが、その時に初めて、もう何年も前から個人的にもよく知ってる若手女優さんが、重要な役で出ていたのに気付いて、「ヤラれた!」と思ったのだった。
それにしても、決して“友人関係”にはならない、でも“バイト仲間”としては大切!?…みたいな、この作品の軸となる人間関係が、ちょっとモヤりつつも、何だかとっても得心がいく。
監督&主演を務めた細井じゅんは、演劇ファンの間で人気となっている劇団コンプソズのメンバー。テアトル新宿で初夏に開催される「田辺・弁慶映画祭セレクション2025」で上映となる、『わたしの頭はいつもうるさい』(2024)では、ヒロインと腐れ縁の元カレを演じているので、そちらも是非観てやって下さい~。(松崎まこと)
【受賞・上映歴】
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭短編部門観客賞
【監督プロフィール】
1994年生まれ。静岡県出身。明治大学卒業後、劇団「コンプソンズ」に所属し、役者として活動。同世代の役者三人と演劇ユニット「パ萬」を立ち上げる。
【キャスト】
日高七海、細井じゅん、小川あん、東野良平、小日向星一
【スタッフ】
寺西涼、稲生遼、三門優介、堀内萌絵子
●予告編
● 作品 『AIM』 22分/2021 監督 GAZEBO

【あらすじ】
母親が亡くなって以来、部屋に閉じこもりゲームに明け暮れる23歳の舞。
たった一人の家族である父親の史人は、娘との会話もなくただ部屋から聞こえてくるのは銃声ばかり。
娘の将来を案じているが自分ではどうすることもできず、インターネットに相談を投稿するのだった。
【紹介文】
わたしはゲームは学校でインベーダーゲームが禁止されて以来、頑なにそれを守り続けできたので、ゲームの事が分からず、ゲーミングPCってのは子どものおもちゃだと思い、編集用のものを選ぶ時もそういうスペックのものは避けていたのですが、どうやらとんでもない間違いだという事がこの映画を見てわかりました。そういう事で言うと私はこの物語の父と同じです。監督もこういうゲームの世界は疎いらしく、ダサいクリスマスセーターも着てたし、とても親近感が持てます。父と娘のジェネレーションギャップは常に映画で描かれて来ましたが、その最新版と言った趣です。 (岩崎)
【受賞・上映歴】
・ショートショートフィルムフェスティバル& アジア 2022(SSFF & ASIA)Branded Shorts of the Year(ナショナル部門)
・京都国際映画祭クリエイターズ・ファクトリー2021 グランプリ
・山形国際ムービーフェスティバル2021 グランプリ
・第7回あわら湯けむり映画祭 湯けむりグランプリ・審査員賞
・第2回SAITAMAなんとか映画祭 観客賞・俳優賞(小林桃香)
・第4回全州国際短編映画祭(韓国) 審査員特別賞
・第4回福爾摩沙國際電影獎 (台湾) 最優秀短編編集賞
・第6回 福井駅前短編映画祭2021 審査員特別賞
・4K・VR徳島映画祭2021 ケーブルキャスト賞
・第12回オイド映画祭 審査員特別賞・技術賞
・杉並ヒーロー映画祭2021 バッカス賞
・東京神田神保町映画祭2021 ハンブルグ日本映画祭賞
・福岡インディペンデント映画祭2022 優秀作品
・第37回サンタバーバラ国際映画祭(USA) オフィシャルセレクション
・神戸インディペンデント映画祭2021 入選
・日本芸術センター第12回映像グランプリ 入選
・おおぶ映画祭2022 オフィシャルセレクション
・夜空と交差する森の映画祭2021 オフィシャルセレクション
【監督プロフィール】
1978年・静岡県御殿場市生まれ・宮城大学卒
映画の制作進行・塗装・助監督・CMプロダクションマネージャー
を経て、現在は監督業をしています。
大瀧詠一と藤子不二雄、そして深夜アニメと深夜ラジオ
【キャスト】
藤崎卓也 小林桃香 髙橋雄祐 増田朋弥
【スタッフ】
監督・脚本・編集 GAZEBO
プロデューサー マツオヒロタダ
撮影 蔦井孝洋
照明 石田健司
録音・音響効果・整音 伊藤裕規
美術 水谷陽一
●予告編
■ 閉会式 ■ 18:35
チケット料金
・各プログラム:800円(A,B共通)
・1dayフリーパス:1,400円
注:当日券のみです。席はすべて自由席です。
会場:ワイルドファイア・スタジオ
九段下駅から徒歩5分
東京都千代田区西神田 3-3-12 西神田YSビルB-1
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