第100回『TOKYO月イチ映画祭』2025年11月9日(日)
■ 前回グランプリ作品上映 ■(無料)12:50~
● 作品 『遠く離れて』 37分/2024 監督 黒田晋平
【あらすじ】
老齢のこずえは認知症をわずらい、介護施設で暮らしている。そこへよく面会に来ていた息子の啓二。彼はいつしか施設を訪れなくなり、電話で対応を済ませるようになった。こずえの孫娘である紗希はその背景を知っている様子だ。一体何があったのか?
【紹介文】
本作『遠く離れて』は老人向けの介護施設で暮らす老齢で認知症をわずらっている女性、こずえと、その息子で初老の啓二。そして、その娘の紗希の物語である。
こずえの気持ち、啓二の気持ち、紗希の気持ち…。
この三人の思いが交錯するところが素晴らしいと思った。そして見せ方もちょっとしたトリック的な演出もある所がなかなかうまいと感じた。
インディーズムービーは作り手が若い人が多いので、若者の物語が多いのだが、人生100年時代の今、老人の物語ももっとあって良いのでは?と思っていたので本作のような作品が作られたのは良いことだと思う。是非観てほしい作品です。(野火明)
【受賞・上映歴】
映文連 国際短編映像祭 映文連アワード2024 優秀作品賞(準グランプリ)、パーソナル・コミュニケーション部門 最高賞
第9回 岩槻映画祭 観客賞
にいがたインディーズムービー・フェスティバル vol.28観客賞
第23回 中之島映画祭 優秀賞
おおぶ映画祭2025 セレクト作品
Kaminari Japan Film Festival 2025 短編 オフィシャルセレクト作品
第16回 福岡インディペンデント映画祭 入選
第16回 日本映像グランプリ2024 入選
沖縄NICE映画祭3 入選
Tokyo Lift-Off Film Festival 2025 入選
【監督プロフィール】
映画学校「ニューシネマワークショップ(NCW)」で、2020年から映画制作を学ぶ。NCW在学中の実習作品『一文字の岐路』が「那須ショートフィルムフェスティバル 2021」ノミネート。2024年制作の短編映画『遠く離れて』は「第16回 福岡インディペンデント映画祭」で選出され、初上映。同作は「第16回 日本映像グランプリ」などで入選。「映文連アワード2024」で、優秀作品賞(準グランプリ)を受賞。「第9回 岩槻映画祭」および「にいがたインディーズムービーフェスティバル vol.28」で観客賞を受賞。
【キャスト】
森田紗希:美波すみれ
森田啓二:堀ノ内イイマン
森田こずえ:木許昌子
佐藤純子:中村真知子
大久保蘭:蔵 ゆうき
切山亮太:羽田野玄多
藤森 綾:雨宮萌果
加賀美真一:黒崎純也
【スタッフ】
撮影:高岡 健吾
助監督:塚本 佳央理、三上 泰輝
音声:野村 光
録音:長谷川 有紀、相馬 大輝、佐藤 恵利香
監督・脚本・編集:黒田 晋平
【予告編】
■ Aプログラム■(有料)14:00~
● 作品 『歩く魚』 19分/2019 監督 テッサ・マイヤー
【あらすじ】
アンデルセン「人魚姫」の頃から語られてきた「魚の人間化」という物語を、周辺人物たちの回想というドキュメンタリーの手法で撮られた珠玉のファンタジー。
【紹介文】
オランダの監督が日本の有明の珍しい魚、ムツゴロウに注目し、美しくシンプルで力強い可愛い物語を紡ぎ出した。海に帰った女の子の物語は当事者達の回想で語られる。そこがユニークで面白い。幼少期と大人の主人公が、それぞれよく似ていて、魚っぽいのがユーモラスで可愛い。地元の素人の人と思われる方の演技が味があって良い。
【受賞・上映歴】
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020 ショートフィルム部門グランプリ
【監督プロフィール】
Thessa Meijer テッサ・マイヤー
脚本家・監督としてオランダ アムステルダムを拠点に活動。 2015年に卒業制作で撮ったショートフィルム『ERKHIIMERGEM, OR WHY THE MARMOT DOESN’T HAVE A THUMB』」はNFF Dioraphte賞tWildcard of the Netherlands賞を受賞。2017年に初めての中編映画『THE DAY MY HOUSE FELL』がアメリカのオハイオ州で上映され国際デビューを飾る。ミュージックビデオの撮影も手掛け、その幅広い活躍でRabobank Young Talent賞を受賞している。
【キャスト】
烏森まど、樋渡小梅、天羽尚吾、大島結登、竹崎綾華
● 作品 『真空回路』 32分/1996 監督 川口良太
【あらすじ】
盗聴マニアの青年。冷酷な幼稚園児などアブノーマルな人種が織りなすサイコ愛憎劇。
【紹介文】
川口良太という監督を寡聞にして存じ上げなかった。月イチ映画祭の野火監督が『ダイヤモンドの月』でゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門でグランプリを取った2年後の1994年に、『FAMILY TIME』で同映画祭同部門でグランプリを受賞していたとの事。2001年の作品発表を最後に映像制作からは遠ざかっていたが、25年の沈黙を経て、来年新作制作予定との事。本作『真空回路』を始め、何本かの彼の作品を見て感じたのは、ざらざらした不穏な違和感、通常我々がのほほんと見過ごしている闇に光を当てるような感覚である。この頃は自主映画として明確な存在理由を持った作品が多かった。商業とは一線を画すものが多かった。本作が特に当時を知らない観客にどう受け止められるのか、非常にドキドキもし、楽しみである。そして川口監督の最新作に期待したい。(岩崎友彦)
※今回の上映は川口監督全面監修の元、HDリマスター作業を行なったHDリマスター版の本邦公開となります。
【受賞・上映歴】
インディーズ・ムービー・フェスティバル入選/ 神奈川映像コンクール優秀賞受賞
【監督プロフィール】
ぴあフィルムフェスティバル、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門、インディーズ・ムービーフェスティバル、等、数々の受賞歴を持つ映像制作者。
横浜生まれ。1990年より映像制作を始める。
1992年、「点滅の朝」、ぴあフィルムフェスティバル入選。
1994年、「関係者以外」、コートミラージュ国際映画祭(スイス)正式招待。
「FAMILY TIME」、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭、オフシアター部門グランプリ。
トロント国際映画祭(カナダ)等多数の映画祭で正式招待される。
1996年、「真空回路」、神奈川映像コンクール優秀賞受賞。インディーズ・ムービーフェスティバル入選。
「FAMILY TIME」「真空回路」のカップリングでBOX東中野(現ポレポレ東中野)にてレイト・ロードショーされる。
2000年、「BUNNY WAVE」、エクラン国際映画祭(スイス)正式招待。
この作品はTV東京の短編ドラマとして制作される。
2001年、「micro sun」、エクラン国際映画祭(スイス)正式招待。
2026年、25年の沈黙を経て新作を制作予定。
【キャスト】
小宮山浩、宮田早苗、白川智義、大久保了、石川建
【スタッフ】
監督・脚本:川口良太/制作:斉藤謙一/撮影・照明:小村幸司・朝倉浩貴/録音・美術:山口政景/音楽:居山進一・森 克美/クレジット:大塚いちお・松永ノブコ/
● 作品『およそなにも生みださないにくしみなんていらないよいいかげん争いなんてやめようよ』 4分/2025 監督 村田啓治
【あらすじ】
独り自室で寝ていると、右手が勝手に動き出し……
【紹介文】
村田監督はこれで4作目だそうです。わたしが王子を務めるおまめ映画菜の参加作品としては2作目。
21世紀初頭に出会った時には引きこもり俳優を名乗っていた。だいたい外で会うので引きこもってねーじゃんみたいなのがお約束であった。その後、こどおじと名乗っていたかどうだったか。この彼のアイデンティティは俳優業や作品にも色濃く影を落としているのである。オタク系とかちょっとアレな役はインディーズ界隈では高い確率で彼にオファーが来るのではないか。そして監督作品。本作とその前の作品は彼の家が使用されている。この2作は題名がほぼ同じでめんどうなので およ1 およ2 と呼称したい。およ1の舞台は彼の部屋なのだが、本人演じる2分の短いストーリーより気になるのは背景の書棚の香ばしい蔵書群である。そして、およ2。こちらは主人公が女性(神代清美)となり、似たような雰囲気の部屋は最近亡くなられたRIPお母様のお部屋という事である。書棚を拝見すると人となりが忍ばれ、啓治さんを立派に育ててくれてありがとう。このように自分の人となりを恥ずる事なく開陳しエクリチュールをして行くのが彼の制作スタイルとなって行くのであろうか。今後の映像作家ムラタに期待したい。(岩崎友彦)
【受賞・上映歴】
「おまめ映画菜ラブアンドピーズ」上映。
【監督プロフィール】
子ども部屋おじさん俳優。出演作に『マン(仮)』(野火明監督)、『時時巡りエブリデイ』(塩出太志監督)、『次は何に生まれましょうか』『彼女たちの話』『藍反射』(野本梢監督)、『PARALLEL』(田中大貴監督) などがある。
コロナ禍くらいから、仕事なくヒマなので自作自演を開始。
村田啓治監督フィルモグラフィ
「逃げる男」????・?分
「ストーカーストーカー」2023・6分
「およそなにも生みださないにくしみなんていらないよいいかげん争いなんてやめようよという映画」(SFおまめ映画菜参加作品)2023・2分
【キャスト】
神代清美、村田啓治
【スタッフ】
撮影: 木野吉晴
■ Bプログラム開始 16:00~
● 作品 『誰もが青春を謳歌できるわけじゃない』8分/2021 監督 長櫓生真
【あらすじ】
車椅子で弓道に挑戦する女性の物語。
【紹介文】
3Dアニメーションで車椅子の女性が障害に負けずに弓道に挑戦する姿が描かれる。シンプルなストーリー、そして、声を使わない無声映画である。
本作を観て非常に力強いインパクトを受けたのだが、声の無いことでより作品に集中出来たのかも知れない。無声映画は昔の録音技術が未熟だった時代のものだが、チャップリンはトーキーの時代になってもトーキー映画はすぐに作らず、しばらくは無声映画を作り続けた。おそらく無声映画のデメリットよりメリットの方が大きいと思ったからだろう。3Dアニメーションという新しいテクニックと、無声映画という昔のテクニックが合体されている所が非常に面白く感じた。そして長櫓監督は本作をほぼ一人で作り上げている。これも自主制作映画を作る者にとってとても参考になると思う。是非観てください!(野火明)
【受賞・上映歴】
2024高知アニメクリエイターアワード「審査員特別賞」
2024Animation Runs!にて上映
2025吉祥寺国際アニメーション映画祭ノミネート
2025西湘映画祭にて上映
2025立川名画座通り映画祭「アニメ部門賞」「優秀(文部科学大臣)賞」
2025四日市☆映画祭ノミネート
【監督プロフィール】
長櫓生真(ナガロイクマ)58歳。
現在広島でマンションPVなどの演出編集を請け負いながら、アマチュア映像制作を行う。
12thCGアニメコンテスト「入選」
【スタッフ】
英訳:ジェシカ / 音楽:魔王魂
【予告編】
● 『バージンVS大統領』9分/2025 監督 野火明
【あらすじ】
架空の国の架空のお話。売春宿を訪れた童貞の男。男は徴兵されて戦地へ送られる事になったと言う。この男とこの国の大統領にある出来事が起き、奇跡がおこる。
【紹介文】
月イチ主催、野火の作品です。『おまめ映画菜 LOVE AND PEAS』のために作った映画です。お題がLOVE AND PEAS(PEACE)だったので思いっきりLOVE & PEACE なお話を考えました。今の若い人にはもしかしたらLOVE & PEACEと聞いてもピンとこないかも知れませんが、ベトナム戦争の反対運動として言われるようになり、その後平和運動の合い言葉のようになった言葉です。70年代、ピースマークのTシャツやシールが流行ったりしたのが懐かしい。私の場合『鉄ドン』からの『おまめ映画菜』ですので、基本バカ映画として作っています。今回のはロングバージョンで約9分です。愛と平和のバカ映画ですので、是非観てください。
【受賞・上映歴】
2025年10月オムニバス映画『おまめ映画菜 LOVE AND PEAS』の一本として中野zeroで上映。
【監督プロフィール】
短編映画『ダイヤモンドの月』で、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 1992 オフシアター部門 グランプリ受賞。1996年に堤真一 出演『シーレットワルツ』で商業映画デビュー。その後の劇場公開作品として『蟻が空を飛ぶ日』『女の仕事』がある。
2013年から『TOKYO月イチ映画祭』を始め現在にいたる。
【キャスト】
今井慶、裕菜、えみりぃ
【スタッフ】
ヘアメイク: 平林純子
● 作品 『銀河健康センター -2SET-』18分/2025 監督 坂田敦哉
【あらすじ】
サウナSFシリーズの第2弾!今作の舞台は、木々が生い茂る「森の惑星」。主人公トトは、更なるととのいへのキーアイテム「伝説のアロマストーン」を求め、その星のサウナに辿り着く。そこで彼女を待ち受けていたのは、「アウフグース」という未知のサウナ文化と、ととのいを司る神「サウナゴーレム」であった…!
【紹介文】
今年の5月のグランプリ作品『銀河健康センター -1SET-』の続編。坂田作品はいつもそうだが本作もセット、特殊造形、特撮、合成、撮影、ロケーション、等が凝りに凝っていてとても自主映画でDIYでやっているとは思えないほどの素晴らしく驚かされた。そして、SFファンタジーを自主映画で本気でやっている所がまた素晴らしい。童心に戻って楽しむ事が出来る映画は非常に貴重である。あとサウナだが、私は元々温泉と銭湯好きだったが、どうもサウナは辛くてあまり興味が無かったのだが、サウナハットなどで頭をカバーすることや、水風呂や休憩の意味を知ってからサウナの気持ちよさを知りサウナが大好きになって生活に欠かせないものの一つとなった。サウナ未経験の方、サウナのある銭湯もたくさんあるので、是非試してほしいと思います。
サウナの魅力の一つは心をリセット出来ることじゃないかと私は思っています。ストレスでモヤモヤドケドケしていた心がリセットされる気がします。童心に戻れる本作のようなSFファンタジーも同じように心をリセットしてくれるような気がします。サウナのようなサウナ映画。是非観てください!
【監督プロフィール】
1999年大阪府生まれ。 小学生の頃に見た「ドラえもん」の自主特撮を作る話に感銘を受け以降自主映画を作り始める。 大阪芸術大学映像学部に在籍後、都内のCM制作会社にディレクターとして勤務。代表作は「宮田バスターズ(株)」「銀河健康センター」シリーズ。
【キャスト】
田中なつ、成海花音、渡部直也、佐田淳、栗田かおり
【スタッフ】
島原大知
【予告編】
