第82回TOKYO月イチ映画祭 5月12日(日)12:50~19:00

グランプリは、『再演』土屋哲彦 監督がみごと受賞しました!土屋哲彦 監督おめでとうございます!

■ 前回グランプリ作品上映 ■(無料)12:50~

  • 作品 『Yokosuka1953』- 彼女の、記憶の中の母を探す旅- 60分 監督 木川剛志

【受賞・上映歴】

今回の60分バージョン

・下北沢映画祭,  観客賞, 下北沢商店連合会会長賞

長編版

・Madras Independent Film Festival, 最優秀ドキュメンタリー映画賞/・1st Monthly FIlm Festival, 最優秀ドキュメンタリー映画賞/

・New York International Film Awards, 最優秀監督賞(長編)/・Oniros Film Awards, 最優秀ナレーション賞/

・Sweden Film Awards, Winner First Documentnary Film/・門真国際映画祭, ドキュメンタリー部門優秀賞/

・東京ドキュメンタリー映画祭長編部門グランプリ/

【あらすじ】

2018年木川剛志に届いたアメリカに住むシャーナという女性からのメッセージ。木川とオンライン上でのやりとりが始まった。シャーナの母バーバラは日本名を木川洋子と言い1947年に横須賀市で外国人と思われる父と日本人の母の間に生まれた。

このような子どもたちは混血児と呼ばれ、敗戦国の日本人には敵国の血が流れる混血児として差別の目で見られ、家族でそのような子どもを妊娠した娘を勘当同然で家を追い出すようなそんな時代だった。

洋子も過酷な環境で育ち1953年米兵に養子縁組されわずか5歳で渡米した。それから66年日本に帰る事も母と会う事もなかった。

木川信子はシャーナの祖母の名前である。木川という名前で有れば何か知っているのではとかすかな希望に、彼女はSNSで木川を検索し、見知らぬ木川剛志にメッセージを送ってきた。木川剛志には横須賀に親族はなく木川信子という名前を当然知らない。和歌山大学に勤める研究者だった私は福井市、和歌山市の空襲を研究し戦災孤児を調べていた。そして私自身は5歳の子供の父親だった。洋子が養子縁組をしてアメリカに渡った年齢と一緒である。

何かの縁を感じた。研究者としてできるだけのことがしたかった。こうして私は木川洋子を産んでその後、行方の分からない木川信子の生きた証しを探し出すべく、その足跡をたどり始めた…

【解説】

SNSの時代がもたらした偶然の出会いが、かつて日本に生まれた女性に、追憶の旅をもたらす。その旅は、80年前の戦争による惨禍を炙り出すと同時に、現代に生きる我々に、ひとつの“奇跡”を目撃させる…。

大学教員で研究者の木川監督は、当初は単なる記録としてカメラを回し始めた。しかし中途で、「これは“映画”にしなければならない」と思うようになったという。本作はそのプロセスをも、我々に体感させる。

この作品には“30分”“60分”“107分”の3つのバージョンが用意されている。今回は“60分”バージョンをお届けするが、劇場公開を果たし現在も各地で様々な形で上映されている“107分版”も、機会があればご覧いただきたい。(松崎)

【監督プロフィール】

和歌山大学観光学部教授。

1976年京都市上京区上七軒界隈生まれ。上七軒は京都の五花街の一つであるが、西陣地区でもあり、機織りの音と三味線の音が交わる中を小学校に通う。1999年京都工芸繊維大学造形工学科卒業後、スリランカ、中国大連、アメリカMiamiの設計事務所の勤務を経て、2002年The Bartlett School of Graduate Studies, University CollegeLondonの修士課程修了。帰国後、京都工芸繊維大学機能科学専攻博士後期課程に入学し、2006年博士(工学)。同年、福井工業大学経営情報学科講師となり、2010年よりデザイン学科メディアデザインコース准教授。

福井市在住時より、地域を舞台とした短編映画製作を学生たちと行う。映画以外にも落語専門の寄席小屋(きたまえ亭2014年末閉館)を運営し、地域の物語をモチーフに落語の台本執筆や上演をしてきた。また、2014年より「街」をテーマとした映画祭を福井市にて主催している。朝日新聞和歌山版「ウラマチぶらり」連載中。2015年より現職。地域プロデュース、観光映像を専門とし、自らも街を舞台とした短編映画を監督、脚本として製作している。

祖父は第一映画、新興京都や大映に属した美術制作の職人。主な参画作品として溝口健二監督「浪華悲歌」(1935)や黒澤明「羅生門」(1950)、渡辺邦男「忠臣蔵」(1958)などがある。祖父の現場に通って木工に興味をもった父親が建築家業を始めたことから、建築に興味を持ちながら育つ。

大学では建築を学び、卒業後はスリランカの建築家、ジェフリー・バワの下で修行をし、ロンドンの大学院を出てアメリカの大手設計事務所に勤めて、日本支社長として帰国するという壮大な“西回航路”を夢見てスリランカに向かうが、ビザなどでトラブルなどして7ヶ月にして帰国。その後、中国で働くという紆余曲折を経験する。ロンドンに留学するという夢は叶うが、そこでBill Hillierという稀代の研究者に出会い、研究への道を志す。京都で学位を得た後、福井県で職を得て、現地でまちづくりに関わるうちに映像製作を覚える。映像製作、落語などの業績をもって、日本で唯一の国立の観光学部を擁する和歌山大学に異動し、現在に至る。

日本で初めての国際観光映像祭, Japan World’s Tourism Film Festivalを立ち上げ、現在代表。

【CAST】

出演:バーバラ・マウントキャッスル 木川洋子

ナレーション:津田寛治

【STAFF】

撮影:木川剛志 上原三由樹 関戸麻友/ 編集:筏万州彦 木川剛志/ グラフィック:松原かおり/ 題字:木川泰輔

主題歌:「おやすみ」キャラバンキョウコ/

■ Aプログラム ■(有料)14:30~

  • 作品 『座敷わらし』 5分 監督 かげやましゅう

【受賞・上映歴】

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019

夜空と交差する森の映画祭2019

広島こわい映画祭2019

【解説】

司会の岩崎友彦が王子を務めるオムニバスシリーズ「おまめ映画菜」の大臣を務めるかげやましゅう監督の作品です。かげやま監督は創り方の自由さ、現場で起こる何かを拾おうとする姿勢が素敵で、往々にしてそれがとてもうまく完成形の中に生かされているのです。(岩崎)

【あらすじ】

引っ越したばかりのアパートに座敷わらしが現れた!これで俺も幸せになれるはず……なんだけど?

【監督プロフィール】

かげやましゅう(蔭山周)

1971年東京生まれ。1998年庵野秀明総監督『GAMERA1999』の撮影を担当。2002年『ナッツ』がゆうばり国際ファンタスティック映画祭のオフシアター部門で審査員特別賞を受賞。トロント国際映画祭に正式招待される。2003年『モロヘイヤWAR』で劇場デビュー。2008年「ポーラーサークル」を結成しプロデューサーとしての活動も開始。2024年8月監督作『ポップ・ロック・ビルディング』を高知県土佐市で上映予定。

【CAST】

龍健太、にいやなおゆき、武内おと、中村真也、芳野正朝、金子二郎

【STAFF】

監督 撮影:かげやましゅう 脚本:前田弘二 音楽:河原弘幸 プロデューサー:中村真也 撮影協力:清水さと

 

  • 作品 『醒めてまぼろし』 30分 監督 木村緩菜

【あらすじ】

大事なものはいつも姿を変えて、自分の前から消えていく。

2009年、冬。清水あき子は自宅から自分の学力で通える最大限に遠い都内の高校に通っている。高校二年生である。常に睡眠不足のあき子は家では眠ることができず、昔一緒に住んでいたおばあちゃんの家に行き、眠りにつく。相変わらず寝不足の電車内、あき子は吉田と出会う。理解なんてし合えないことを分かっていても、誰かのことを好きになって、一緒に時間を過ごして、別れていく。勘違いだったとしてもその一瞬を抱えて、清水あき子は眠りにつく。

【解説】(野火明)

映画は共感出来る事が大事だと思うのだが、何故か共感出来る映画が少ない。特に青春映画は少ない。キラキラした青春を描いた映画が多いからだと思う。『醒めてまぼろし』は凄く共感出来るし、とてもリアルに若い人間を描いていると思う。キラキラしてない青春だってあるし、実際にはそっちの方が多いのでは無いかと思う。この人間の描き方、表現力はただ者じゃ無い。将来が楽しみな監督である。

【監督プロフィール】

1992年千葉県生まれ。日本映画大学卒業。在学中からピンク映画や低予算の現場で働く。卒業制作では脚本・監督を務めた「さよならあたしの夜」を16mmフイルムで制作。卒業後は映画やドラマ、CM、MVなど様々な監督のもとで助監督として働く。

【CAST】

小野花梨、青木柚、遠山景織子、仁科貴、青柳尊哉、尾崎桃子

【STAFF】

監督・脚本:木村緩菜 製作総指揮:松谷孝征(VIPO理事長)製作:特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)

プロデューサー:臼井正明、古森正泰 撮影:今泉尚亮 照明:守利賢一 美術装飾:田村康利 録音:藤丸和徳 スクリプター:山下千鶴

編集:柳澤和子 キャスティング:空閑由美子 助監督:杉山嘉一

 

  • 作品 『マンチの犬~鶏そうめんと温泉ビーフ~』36分 監督 賀々贒三

【解説】

みんな大好き、『マンチの犬』シリーズ最新作だよ。お馴染みの刑事ものバディ物のフォーマットに旅情がプラスされたよ。賀々贒三監督がとってもエンタテイメントを楽しんでる感じが、いろいろギリギリコーナーを付いてる感じがとても良い。(岩崎)

【あらすじ】

謎の招待状によって久米川は有馬温泉を訪れ、宿泊費が足りず同僚の小平を呼び出す。するとホテルで連続不審死が発生。兵庫の名産品を使った料理をヒントに、久米川はそれがそのホテルのCMソングになぞらえた見立て殺人であると推理するが…。

【CAST】

榎本桜、小関翔太、彦坂啓介、藤堂海、水崎涼花、福嶋千明、岡たまき、黒巌大五郎、盛井雅司、杉崎正典、上地由真、吉川流光、とうふ、杉山晴香、伊藤由紀、佐々木心音

【STAFF】

脚本・監督:賀々贒三 プロデューサー:榎本桜、杉山晴香 撮影:北尾和弥 録音: 森下怜次郎 音楽:大川裕明(RUDE BONES)料理監修:伊藤由紀 企画:株式会社リアルメーカーズ 製作: 株式会社リアルメーカーズ、CNSS

■ Aプログラム終了 ■ 16:24

■ Bプログラム ■(有料)16:45~

  • 作品 『毎日爆裂クッキング』30分 監督 植木 咲楽

【あらすじ】

<食>の情報誌『織る日々』の編集者・相島文は、今日も上司・皆月の執拗なプレッシャーにさらされ、ストレスゲージはMAX状態。ついに味覚障害となり、心はもう爆発寸前。文の脳内は、日に日に荒れ狂ってゆく!

【解説】(野火明)

仕事をしていると理不尽な目に合うことが誰しもあると思う。そしてストレスや怒りが溜まってどうしようも無いことがあると思う。そんな脳内の描き方がとにかく画期的だ。漫画的な表現を上手く使って、暗くなりがちなテーマをエンタメ的に明るく仕上げている。

【監督プロフィール】

1995年大阪府生まれ。京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)映画学科にて、高橋伴明、福岡芳穂らより映画制作について学ぶ。

監督・脚本を務めた卒業制作『カルチェ』がPFFアワード2018にて入選、第19回TAMA NEW WAVEにてグランプリを受賞。大学卒業後は上京し、石井裕也監督のもとで監督助手を務め、映画・ドラマ・ドキュメンタリー作品の助監督および映像作家としても活動中。

【CAST】

安田聖愛、肘井ミカ、駒木根隆介、今里真、小日向星一、大谷亮介、渡辺えり

【STAFF】

監督・脚本:植木咲楽 製作総指揮:松谷孝征(VIPO理事長)製作:特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)プロデューサー:土本貴生

撮影:柳島克己 照明:舘野秀樹 録音:郡 弘道 美術装飾:沢下和好 衣裳:山崎 忍 ヘアメイク:中山有紀 製作担当:田中宏樹

助監督:石井晋一 編集:宮島竜治 タイトルデザイン:赤松陽構造 音楽:谷口尚久

 

  • 作品 『再演』 24分 監督 土屋哲彦

【受賞・上映歴】

ロサンゼルス国際短編映画祭 下北沢映画祭 別府ブルーバード映画祭 福井駅前短編映画祭

オムニバス映画「HAKUSHI PROJECT」としてケイズシネマほかで劇場公開

【解説】(岩崎)

常連グランプリの土屋哲彦監督、久々の登場です!冒頭の掴みからもう完璧です。傑作の予感しかしません。

エモいです。エモーションで突っ走っていくパワーに、構成の妙がさらにプラスされ深化した感じです。演者=表現者の挫折、苦悩が、実際に演じる方々の歩みや人生とダブり、凄いハーモニーを生み出していきます。

【あらすじ】

葬式で十年ぶりに再会した、元演劇部員たち。彼らの手元には死んだ同級生が遺した一冊の脚本。それは高3の秋、演劇祭が中止になったあの日を再現した物語だった。それぞれが抱える後悔を胸に、彼らがとった行動は…?

【監督プロフィール】

2007年に映画「梨の花は春の雪」(AMDアワード受賞)で監督デビュー。以降MVやドラマの演出に携わる。

映画「闇金ドッグス」がヒット&シリーズ化。「RUN!-3films-」「惡党と物書き」などの映画を手がける一方、近年はAmazonオリジナルドラマからプラネタリウム作品、数多くのTVCMを演出するなど色々なジャンルで活動中。

【CAST】

中村更紗 卯ノ原圭吾 園山敬介 堀さやか 鈴木タカラ かんた 宮寺貴也

【STAFF】

脚本:山本タカ/土屋哲彦 撮影:室井大地 照明:西野哲雄(JSL)

録音:蓬田智一 音効/MA:西川良 音楽:大川カズト 音楽プロデューサー:田口大善

 

 

  • 作品 『ダイヤルMは殺しの番号』 14分 監督 岩崎友彦

【解説】(岩崎)

司会の岩崎友彦監督作を僭越ながらお送りします。昨年亡くなられた主演の水井真希さんと8本の短編を作りましたが、これはその最初に作った作品です。監督した私よりも作品に思い入れがあり、上映される機会を強く望んでいたと思うので、機会があれば上映をしていく事が彼女の意志に沿うものだと思うので、みなさん楽しんでいただければ幸いです。『ダイヤルMは殺しの番号』、U-nextで配信したものとは若干タイトルを変えました(本編中のタイトルはそのままです)

【あらすじ】

介護士の満子と彼女のヒモのヒデアキは、満子が介護する老人・友蔵の財産を狙う。そこでキャッシュカードの暗証番号を聞き出そうとするが、友蔵はボケてその番号が思い出せない。そして、暗証番号が体に特殊な入れ墨によって彫られているとわかり…。

【CAST】

水井真希 榎本桜 岩崎友彦

■ Bプログラム終了 ■ 18:32

■ 閉会式 ■ 18:50~