第96回 『TOKYO月イチ映画祭』 2025年7月13日(日)

■ 前回グランプリ作品上映 ■(無料)12:50~

● 作品 『河童になる』 27分/2023 監督 山科晃一

【あらすじ】
コロナがきっかけでバーの経営が立ち行かなくなった篠崎は、実家で母親の由紀子と2人暮らし。心機一転しようと役者を目指し始めた頃、かつてのバーのスタッフであったタネと出逢い…

【紹介文】
コロナ明け後、ここ2~3年の“インディーズ映画祭”をウォッチすると、「映画美学校」の風が強く吹いていることがわかる。
私が関わる「田辺・弁慶映画祭」に於いては、2022年の「第16回」で最高賞の“弁慶グランプリ”などを獲得した『はこぶね』の大西諒監督、23年の「第17回」でやはり“弁慶グランプリ”をはじめ5冠を掻っ攫った、『99%、いつも曇り』の瑚海みどり監督は、いずれも「美学校」出身。昨年開催の「第18回」の入賞作品で、先日テアトル新宿での「弁セレ」上映時に“満席”を記録した『よそ者の会』の西崎羽美監督も、同じく「美学校」OGである。
私が審査委員長を務める「熊谷駅前短編映画祭」も、「美学校」勢が席捲している。昨年の「第1回」で審査員特別賞を受賞した『網戸』は中江伶乙監督が、今年の「第2回」グランプリ『あなたの影』は中沢志保監督が、それぞれ「美学校」の仲間たちと作り上げた作品だった。
カリキュラムが良いのか?講師が優れているのか?その辺りは判然としないが、ひとつ言えるのは今の「映画美学校」が、才能ある者たちが集い切磋琢磨する場になっているのと同時に、協同の場として機能しているということである。
本作の山科晃一監督も、まさにそうした流れの中から登場した、「美学校」勢力の1人。コロナ禍で店を潰してしまった中年男が、タイトルになっている『河童になる』ことで、起死回生を図るという、風変わりなストーリーの中に、キャラクターを絶妙に配置。主人公篠崎と、そんな彼を、多分男性としてはほとんど意識していないが(?)、1人の大人としてリスペクトしているタネという若い女性のコンビネーションが、笑えて、しかもホロッとさせる。演じる国海伸彦と百瀬葉という俳優自身の魅力もあるが、この2人を組み合わせて“化学反応”を引き起こしたのは、紛れもなく山科監督の“演出”と言える。
国見は「福井駅前短編映画祭」で、百瀬は「熊谷駅前」で、それぞれが“俳優賞”を手にしている。これは監督にとっても、勲章である。(松崎まこと)

【受賞・上映歴】
福井駅前短編映画祭2024ノミネート テアトルサンク賞・ベストアクターズ賞(国海信彦)・優秀賞受賞/第26回長岡インディーズムービーコンペティション入選/第2回 熊谷駅前短編映画祭 ノミネート/優秀賞・俳優賞(百瀬葉)受賞/CFF2025 入選

【監督プロフィール】
1991年兵庫県神戸市生まれ。テレビ局勤務後、2019年東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了。映像制作会社、広告制作会社を経て映像/広告のディレクション及びシナリオを担当。映画監督・脚本家・小説家・アーティストとして活動中。

【キャスト】
国海伸彦、百瀬葉、松浦祐子、るい乃あゆ、山科晃一、小林真樹、押山大智

【スタッフ】
助監督 押山大智/ 撮影 小海祈/ 録音 太田祥介 わたしのような天気

●予告編

■ Aプログラム ■(有料) 13:50~

● 作品 『触れてしまうほど遠い距離』 9分/2019 監督 内田佑季

【あらすじ】
お互い密かに惹かれ合いながらも、上司と部下という関係を崩すことはない茂木とマコト。マコトの派遣契約が近々終わると知った茂木は、マコトを束の間のドライブに誘う。

【紹介文】
作業服を着た地味な男女二人が商用ライトバンに乗って、おそらくはお得意様の建設会社などを回っていく。女は派遣社員で、男はその上司。場所は九十九里浜が近い千葉の南端の方か?
この、なんともいえないかっこつけてない雰囲気がなんともリアルで良いと思った。映画を作る時、とかく人はかっこいい感じにしたがるモノである。かっこいい設定、衣装、台詞、ロケ場所。カッコつけた感じの映画ほどカッコ悪いモノは無いと思う。
本作の地味な男と女の物語は、日本のあちこちに同じような男と女が無数にいるような想像をさせられてしまう。それを計算して監督がこのような地味な設定にしたのかは謎であるが、非常にリアルな映画になっていて、これは凄いと思った作品です。是非観てください。(野火)

【受賞・上映歴】
第5回立川名画座通り映画祭 グランプリ
鶴川ショートムービーコンテスト(上映)
フェローズ月1短編映画上映会(上映)

【監督プロフィール】
内田佑季 Yuki Uchida
1991年生まれ、千葉県出身。2013年、桜美林大学総合文化学群映画専修を卒業。在学中は脚本・監督を専攻。監督を務めた卒業研究作品『ふたりで別の歌を』は第31回そつせい祭にて最優秀作品賞を受賞。2023年『かかってこいよ世界』がテアトル新宿にて公開され、商業監督デビュー。現在、WEB配信用ドラマを制作中。

【キャスト】
徳永真子、川連廣明、工藤遼太郎

【スタッフ】
脚本・監督 内田佑季/ 撮影 御園涼平/ 制作 貴船あかり

● 作品 『恋愛電話』 38分/2016 監督 北林佑基 松本佳樹

【あらすじ】
想いを伝えることが苦手な女子大学生、日向野結。
間違い電話で繋がった青年、乾一成にナンパ男から助けられたことで、彼のことが気になりだす。
彼への想いが強くなる中、謎の三人組が結の前に立ちはだかる。
壁ドンあり、失恋あり、世界滅亡あり…!?
誰も見たことのないハチャメチャラブストーリー。

【紹介文】
北林佑基・松本佳樹共同監督作品。彼らが大学三年の時に作った作品です。
最初はよくありがちなラブコメな空気から始まって、世界が多重に折り重なって「はちゃめちゃ」な展開を魅せつつ、かなり「どストレート」に楽しめるエンターテインメントな内容。
それはまるで「Velvet Underground & Nico」のアルバムのようで、一見平凡なポップス曲から混沌としたインプロまでを、あのバナナのポップアートでひとつのパッケージにしたように、「やりたいことを全部やりました」と言わんばかりに詰め込んだびっくり箱は、スクリーンを通し、情報の渦となって鑑賞する人たちの心を満たしてくれることでしょう。
そんな「にくい」手法が、この大学生時代に完成されている。と言って過言ではないでしょう!
キャスティングも手抜きがなく理想的な人物がそれぞれの役割をキラキラと演じています。
世田谷センスマンズの原点をぜひご堪能下さい!
きっとこの作品を観た後には、あったかい気持ちが沸き起こってくるはずです。映画って最高です。
<宣伝>
松本監督の新作『バイ、ザ ウェイ』YouTubeで絶賛無料公開中!
https://www.youtube.com/@setagaya_sensemans
(ファンタスティックムービーウィーク 佐藤賢治)

【受賞・上映歴】
・大学連携による映画人育成のための上映会「S.T.E.P.」にて上映
・門真国際映画祭2018★審査員特別賞&最優秀adobe賞 受賞★
・配信映画祭2020 にて配信上映
・日本コメディ映画祭2022★優秀作品賞 受賞★
・FANTASTIC MOVIEWEEK 2 @ Morc阿佐ヶ谷 にて上映

【監督プロフィール】
神戸芸術工科大学 映画コース卒業。在学中は石井岳龍監督に師事。大学の仲間とともに映像制作団体「世田谷センスマンズ」を結成し、以後、チームでの作品づくりと、自主企画の両方に取り組んでいる。監督作に『恋愛電話』『夜が明けるまで』『咲かない蕾』など。脚本参加作『消しかすの花』『これらが全てFantasyだったあの頃。』。経済産業省の次世代クリエイター支援事業「創風」に採択され、現在は木片を主人公にした短編映画『パッキン太郎』を制作中。

【キャスト】
北林佑基、河村朱莉、宮部拓海、高岡竜誠、平田江里奈

【スタッフ】
脚本:北林佑基・松本佳樹/ 撮影:常川千秋/ 助監督:岡海人/ VFX:ラハマン陸/ 編集:松本佳樹 北林佑基

●予告編

● 作品 『あいをたてる』 25分/2024 監督 平一紘

【あらすじ】
本部町で代々伝わる藍染め工房で働くチカは婚活アプリで資産家のユウトと知り合う。
ユウトはチカに気に入られる為に藍染め工房に弟子入りするが、ユウトには秘密があった…

【紹介文】
最近、地方自治体製作の映画が増え、映画際にも出品される事が多くなった。しかし、どうしても「○○県は良いところ」「都会よりも田舎の方が暮らすには良いよ-」のような宣伝臭さを感じさせる作品が多いのが実情で、本作も沖縄県製作の映画なので、そういう雰囲気なのかと思いつつ観ていたら途中からハードな展開となり、良い意味で裏切られた。普通に面白い映画だったのだ。
地方自治体映画なのにこんな映画を撮れるのはどんな監督かと思ったら、今月公開の『木の上の軍隊』の平一紘 監督で驚いた。平監督の経歴が面白く、平監督はずっと沖縄に住み続けて映画を撮っているのだ。全ての作品を沖縄で撮っている。
平監督は沖縄国際大学の放送研究部にいて、そこで自主映画を撮っていて、県内の百貨店に就職しても撮り続け、『アンボイナじゃ殺せない』という映画を自主で撮り、それが認められて、映像の仕事も入るようになったようだ。
それから沖縄を舞台にした映画の企画には、沖縄県生まれで沖縄に住み続けている監督ということが強みとなり、平監督が選ばれる事が多くなったということらしい。
それから本当にびっくりするくらい多くの映画を沖縄で撮っている。
映画監督や映像関係の仕事をしたいと思ったら、東京か大阪に行って勉強したり仕事をしたりするのが常識なのだが、その常識とは真逆の事をやって映画監督として成功している平監督。これは映画作りの新しい方法論になるかもしれない。是非観てください。(野火)

【受賞・上映歴】
島ぜんぶでおーきな祭 – 第16回沖縄国際映画祭
SSFF&ASIA2025 ライブアクション部門/ジャパンプログラム ノミネート

【監督プロフィール】
沖縄県内百貨店にて店舗企画担当勤務中にもテレビドラマの演出や自主映画を製作。
5年ほど勤め、退職し映像作家としての専任活動を始める。
2014 年:映画『アンボイナじゃ殺せない』 /※監督デビュー。
2020 年:QAB 特別ドラマ「パナウル王国物語」 /監督
※日本民間放送連盟賞ドラマ部門準グランプリを獲得。
2022年:映画「ミラクルシティコザ」全国公開/監督・脚本/桐谷健太 主演
2022 年:短編映画「おかあの羽衣」/監督/服部樹咲 主演
尾野真千子、ガレッジセールゴリ出演
2024年:沖縄県地域発信型短編映画「あいをたてる」/監督/松田るか 主演
2025年3月:映画「STEP OUT」全国公開/堤幸彦監督の共同監督/
仲間由紀恵 主演
2025年6月13日(金):映画「#木の上の軍隊」沖縄先行公開/監督・脚本/
#堤真一・#山田裕貴 W主演
2025年7月25日(金):映画「木の上の軍隊」全国公開予定

【キャスト】
松田るか、山内和将、城間やよい、岩田勇人、ちあき(ハイビスカスパーティー)、大田享、星田英利 ほか

【スタッフ】
撮影:上江洲佑弥 / 照明:知念求 / 録音:佐藤祐美 / 音楽:辺士名直子 / プロデューサー:横澤匡広、大城賢吾、和泉かな、伊差川郁恵/ 制作:吉本興業 / 著作権利保持者(配給)沖縄県/ ©Okinawa Prefectural Government. All Rights Reserved.

■ Bプログラム ■(有料) 16:05~

 

● 『密談長屋』 7分/2024   監督 アブ シャヘド イモン

【あらすじ】
役人を殺害した浪人が依頼主である親分から恩賞をもらうためにとある長屋に呼び出される。しかし親分はおらず子分が待っていた。仕方なく親分を待つことになるが待てど暮らせど親分は来ない。つい酔っ払ってしまう浪人に子分が面白い言い伝えのある石を見せる。しかしその石には秘密があり、、、

【紹介文】
昨年のインディーズ映画界に於いて、最大級のニュースと言えば、『侍タイムスリッパー』の大ヒットが挙げられる。興行収入は10億円を突破!日本アカデミー賞主要部門の最優秀賞なども掌中に収め、『カメ止め』の再来などと喧伝されるに至った。
このような大成功となった背景には、かつては毎夜のように放送されていた、TV時代劇に親しんでいた層、今どきは滅多に映画館に足を運ばなくなった中高年を吸引したことも挙げられる。クライマックスではそうしたオジ様方の、すすり泣きが劇場に溢れたとも言われている。
『侍タイ』ブームと呼応するかのように、昨年から今年に掛け日本各地のインディーズ映画祭で大きな話題となったのが本作、短編時代劇の『密談長屋』である。
こちらは「京都フィルムメーカーズラボ」という、国内外の若手映画人を対象とした、ワークショップの枠組で製作されたもの。インド人の監督をはじめ、スタッフが多国籍軍だったため、現場は混乱を極めたと聞く。しかし本格的な時代劇の設えである本作の画面からは、そのような裏舞台の有り様は伝わってこない。
ポスプロまで含めて、何とか本作を完成させた日本人スタッフの頑張り。そして、『侍タイ』でも大きな役割を果たした、“京都”の撮影所の、伝統の為せる技と思われる。
かくて完成した『密談長屋』は、各地で入選を果たすに至ったのであるが、それにしても本作も『侍タイ』も、時代劇の隆盛時であったら、恐らく成立しなかった。往時の“京都”が、インディーズ映画に力を貸すことなど、まずありえなかったからだ…。
本作は、撮影所文化がギリギリ続いているこのタイミングだからこそ、生まれ出た作品とも言えるのだ。(松崎まこと)

【受賞・上映歴】
那須ショートフィルムフェスティバル 2024 那須アワード入選
北海道国際映画祭 2024入選
立川名画座通り映画祭入選
にいがたインディーズムービーフェスティバル入選
函館イルミナシオン 入選
熊谷駅前短編映画祭 入選 優秀賞
つくばショートムービーコンペティション 準グランプリ
西東京市民映画祭 奨励賞
福岡インディペンデント映画祭 入選
唐津国際映画祭 入選

【監督プロフィール】
ダッカ大学心理学科卒のバングラデシュ人映画監督アブ・シャヘド・エモンは、権威ある国際映画教育の奨学金を確保した。 デビュー作『Jalal’s Story』(2015年)は10部門で受賞し、バングラデシュ代表としてアカデミー賞にもノミネートされた。バングラデシュ初のアンソロジー映画 “Sincerely Yours, Dhaka “は釜山でプレミア上映され、Netflixを通じて世界中の観客に届き、2020年のアカデミー賞候補にもなった。最近のプロデュース作品『No Ground Beneath the Feet』は、バングラデシュ・アカデミー賞委員会から2023年アカデミー賞国際長編部門にノミネートされた。最近の監督デビュー作『Mercules』(2023年)は、バングラデシュ最大のOTTプラットフォームCHORKIで高い評価を得た。

【キャスト】
子分:中島崇博、浪人:東田達夫、同心:仲野毅

【スタッフ】
脚本・監督補:日座裕介/ 撮影監督:ミンジュ フー/ 撮影助手:パトリック ドルジ/ 照明: 嶋根義明/ 助監督:アスタマイ デュエンウェバー/ 美術:ネストル アブロヘナ/ 録音助手:デイビッド ウィルソン/ 制作:ムハマド サエーム ケドゥ/ 制作:渡辺喜子/ 通訳:一木香乃/

● 作品 『独りになるまで』 6分/2023  監督 加藤大志

【あらすじ】
10秒しか撮れない壊れたビデオカメラ。 そのカメラには幸せそうな日常と、ある秘密が記録されていた

【紹介文】
『きらわないでよ』(2015)『止まるな』(18)『いろとりどりの』(22)等々、加藤大志監督のフィルモグラフィーを振り返ると、題材は違えど、“一生懸命”な者が主人公であることが多い。しかし人生はままならない。悲劇的…というか、見ようによっては“シニシズム”に満ちたエンディングへと辿り着く。
そうした流れとは無縁に、ハッピーエンドを迎える『エクラド~あの空の向こうに~』(16)のような作品もあるが、これは企画者が別人。恐らくそちらの志向に引っ張られたものと思われる。
とはいえ人間は、大きな失敗や挫折を経てこそ、やり直したり新たなスタートが切れる。加藤作品からそんな“希望”を感じ取ったりするのは、私だけだろうか?
本作『独りになるまで』は、本来長編としての製作を考えていた内容を、ギュッと“6分”に詰め込んだ作品。中盤までのラブラブモードが一変して、クライマックスから一気呵成にエンディングまで流れ込む展開に、私は唖然とした。果して辻褄が合ってるかどうか?そんなことが気にならないほどに。
加藤大志ワールドが凝縮されているとも言える本作は、だからこそ「必見」と言える!(松崎まこと)

【受賞・上映歴】
・SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2023 入選
・第一回熊谷映画祭入選
・福岡インディペンデント映画祭2024 入選
・岩槻映画祭 優秀企画賞
・広島こわい映画祭2023 入選
・那須国際短編映画祭 入選

【監督プロフィール】
2015年監督作「きらわないでよ」がSSFF&ASIA2015をはじめ多くの映画祭に入選、受賞。
2020年には第5回ブックショートアワード作品「シャフリヤールの昼と夜」を監督。
監督の他、カメラマンとしても活躍している。

【キャスト】
中村更紗、原雄次郎

【スタッフ】
撮影:勝亦祐嗣 協力:佐島由昭 監督・脚本・編集:加藤大志

●予告編

● 作品 『土手と夫婦と幽霊』 59分/2018 監督 渡邉高章

【あらすじ】
小説家の「私」は、葬式の帰りに「高橋」に誘われて、土手沿いに住む「女」の元に行く。「私」は目覚めると、帰る場所もわからず、「女」の家に居座ることになる。思い出せない記憶、不味い食事、ぬるい風呂……輝きを失ったこの世界にはルールがあった。

【紹介文】
『ジェントリー土手』『多摩川サンセット』『Happybirthday Raymond』等、土手、川を舞台にした映画を多く撮っている渡邉高章 監督。映画作りも自分でカメラを回し、録音もするなど少数スタッフで撮影の超自主映画スタイル。
本作『土手と夫婦と幽霊』は59分という長い尺で、日本各地で劇場公開までした作品。モノクロの映像で、不条理感あふれるストーリーだが、すぐにその映画の世界に引き込まれ飽きること無く楽しめる極上の映画になっていてとても驚いた。
安部公房の『砂の女』を彷彿とさせる不条理で不思議なストーリー。(どうやったらこんな話を思いつけるのか??)そして映像がやたらと美しい。役者がかっこいい。とてもほぼスタッフ無しで撮っているようには思えないクオリティの高さにただただ驚くばかりなのである。是非観てください。(野火)

【受賞・上映歴】
第10回映像グランプリ グランプリ
第5回湖畔の映画祭 最優秀俳優賞
第2回ibasho映画祭 グランプリ

【監督プロフィール】
東京生まれ湘南育ち。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒。商業映画やドラマの演出部と制作部で研鑽を積む。現在は屋号「ザンパノシアター」にて各種映像制作を行っている。特に短編映画を継続的に制作し、国内外の映画祭で毎年入選や受賞を重ねる。

多摩川沿いに住み、『ジェントリー土手』(2016)や『Happybirthday Raymond』(2017)など「川」や「土手」をモチーフにした作品が多い一方で、『Elephantsong -A Tokyo Couple Story-』のような社会問題を扱った作品もある。また、「家族」や「子ども」を題材にする作品も多く、近作では『最後の生活』(2022)が国内映画祭で4つの最高賞を含む10以上の受賞を果たした。

2020年12月「第25回ながおか映画祭」では、俳優星能豊とともに特集上映が組まれる。2021年夏、『土手と夫婦と幽霊』が劇場公開、自ら宣伝・配給を行い、各地ミニシアターや映画祭等で上映活動を行う。2025年6月現在、Amazonプライム、U-NEXT、ジーンシアター等各種サブスクリプションで合計18の短編映画が配信されている。

【キャスト】
星能豊、カイマミ、佐藤勇真、小林美萌、由利尚子、舟見和利、狗丸トモヒロ、松井美帆

【スタッフ】
音楽:押谷沙樹 / 題字:岡崎絵美/ スチール:田畑友子 / 衣装:カミフクモトジュン(tone)、渡邉美帆 / 監督・脚本・撮影・録音・編集:渡邉高章

●予告編

■ 閉会式 ■ 18:20